皆さんは、hip-hopミュージックを聴いたりしますか?
hip-hopを語る上で避けては通れない要素がいくつかありますが、それがMCバトルです。
MCバトルがテレビで特集される際には、"口喧嘩大会"などと紹介されることもしばしば。
まぁ、間違ってはいませんが、MCバトルは実は単なる口喧嘩にとどまらず、とても奥の深いものです。
今回は、hip-hopアーティストであるダースレイダー氏の著作、「MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門」という本を紹介しながら、
MCバトルの魅力に触れていきたいと思います。
それでは行ってみましょう!
もくじ
本書の特徴
用語の解説

まず最初に、MCバトルに欠かせない用語について冒頭で簡単に説明がなされています。
これにより、本書を読み進める途中で分からなくなっても再度、最初の方を読めばスムーズに進めることができます。
全くMCバトルに詳しくない初心者でも置いていかれることがないでしょう。
試合を文字起こし

章ごとに時系列になっていて、具体的にラッパー同士のMCバトルを文字起こしして、解説しています。
ここでは、多くのラッパーの名前が出てきますが、初心者の方はほとんど知らないでしょうから、「へぇ~そんな人がいるんだ~」という感じで進めていくほうが読みやすいです。
わざわざ知らないアーティストを調べていてはスピード感が亡くなりますし、疲れて楽しくなくなってしまいます。
全体を把握するという軽い気持ちでも全然かまいませんし、あとから興味があるものを調べていけばいいです。
内容

Krevaの存在
まず、MCバトルの歴史を語る上でKreva(クレバ)のことは避けては通れません。
彼は、hip-hopアーティストで初めて武道館公演を成功させた人物で、今も売れ続けています。
現在では楽曲制作にとどまらず、ミュージカルをやったり、俳優としてもドラマや映画に出演しています。
そんなジャパニーズhip-hopの頂点に君臨する彼ですが、実はB boy park(以下BBP)という大きなMCバトルの大会に出場し、史上初の三連覇を成し遂げています。
そして本書ではそのBBPでクレバはどのようにな試合を展開していたのか、他の選手と比較して何がすごかったのかを事細かに説明しています。
Krevaが三連覇して、彼の引退後のバトルのたどった道がづつられています。
UMBの発足
UMBとはアルティメット・MC・バトルの略です。
この大会は今となっては、とてつもなく大きな大会になっています。
ここでは、UMBができた経緯と、2007年までの話題になった試合をもとにバトルスタイルなどの変化について解説しています。
般若と鎮座Dopeness
今までバトルとはアーティストたちが名前を売る手段として機能していたところがありました。
たとえ優勝できなくてもインパクトを残すことができれば、CDが売れてアーティストとして生きていけるというラッパーたちの夢の舞台でもあったわけです。
しかし、2008年に優勝した般若、翌年の鎮座にはすでに音源を買う多くのファンがついていました。
ここから、何もない状態から優勝した場合とすでにファンがいる状態からの優勝を比較し、その後のキャリアがどうなるのかについて説明しています。
さらに売れるのか、それとも変わらないのか、ここを分岐点にバトルが持つ意味も変化していきます。
R-指定の登場
ここでまた、近年のバトルを語る上で避けては通れないアーティスト、R-指定のバトルを中心に、規模が拡大していくUMB、そして、
KOK(キング・オブ・キングス)という新しい大きな大会の発足から、バトルの進化を時系列で追っています。
高校生ラップ選手権
今までバトルはテレビでその様子が移されることはありませんでした。
しかし、スカパーのBAZOOKAで高校生ラップ選手権という企画がスタートし、バトルがぐっと身近なものに変化していきます。
そこから生まれたスター、T-PABLOW(ティーパブロ)を中心とする数々の高校生ラッパーたちの登場はこの番組からです。
選手権が生まれた経緯、そこから選手権の拡大まで説明されていますが、とても興味深い内容になっています。
フリースタイルダンジョン
さて、ようやくここまで来ました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、フリースタイルダンジョンは、初めてバトルが地上波で流れた番組です。
高校生ラップ選手権でバトルの人気が爆発し、さらにこの火を絶やすまいというタイミングで始まったこの番組は、深夜帯ですが、
多くの新規リスナーを生み出し、hip-hopへの興味を現在進行形で誘い続けています。
ここではフリースタイルダンジョンのバトルを中心に、別の試合も絡めつつ、今後のバトル、そしてhip-hopに対する思いがつづられています。
最後に
全体を読んだ感想としては、とても読みやすい作品でした。
ダースレイダー氏の文章から、"初心者でも分かりやすいように"という最大限の配慮が見て取れます。
さらに、私を含めリアルタイムでバトルを見てきたリスナーは、「こんな分析の仕方があるのか!」と驚くはずです。
バトルがここまで来るのに、動画やインタビュー記事では想像もできないような過程を経ているんだということを知りました。
hip-hopに対する思いと、その"重み"まで、ほんの少しでも理解が深まるのではないかと思います。
やはり、hip-hopは素晴らしい音楽です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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