ステロイド。
日本では"ステ"と呼ばれ、度々ネタにされるアナボリックステロイドですが、使用にあたっての副作用に関して取り扱っているサイトが日本にあまり見られないと思い、記事を書きました。
副作用はヤバいものばかりですが、何がどうヤバいのか、これから見ていきましょう。
ステロイドの主な副作用
女性化乳房

まず、ステロイドの副作用に"女性化乳房"があります。女性化乳房とは、そのままですが男性の胸が女性化してしまうことを指します。
メカニズムを簡単に説明すると、
- ステロイドを入れる
- 男性ホルモンが異常に増える
- 脳「男性ホルモン多すぎるから女性ホルモン出すよ!」
- 女性化
というのが大まかな流れだと言われています。
上の写真は女性ですが(ひどい場合はこれくらいになったりします)、よく見られるのは"しこり"ができる程度のものです。
両手を上げるポーズを取ると大胸筋が引き伸ばされるので、しこりが見えやすくなります。ボディビルにおける『アブドミナルサイ』というポージングの時が一番わかりやすいです。
思春期辺りに自然発生する可能性がありますが、原因はホルモンバランスの乱れによるものだとされています。自分語りなのですが、私も小学校高学年の時に発症して病院に通っていたことがあります。しこりができた程度だったので時間とともに治りましたが、大好きなドッジボールができない間は落ち込みました(泣)
性機能障害

自然に生成されるはずのホルモンを外部から入れるということは、やはり男性機能に悪影響を及ぼします。それは女性も同じです。
挙げられる性機能障害として、
- ED
- 男性不妊症(精巣萎縮)
- 子供への悪影響
などがあります。精巣萎縮という言葉を聞くだけでこちらが萎縮しそうです。
精巣が萎縮することで、作られる精子の量も質も低下します。それが男性不妊症へつながるというわけです。
たとえ子供を授かることができたとしても、何かしらのリスクを背負って生まれてくる確率が高くなります。
ハゲる

そもそも筋トレとハゲに関係はあるのかということですが、これに関してもまた詳しく別の記事で考察してみようと思います。
ただし、多くの研究で『アナボリックステロイドの使用は抜け毛を誘発する可能性が高い』という結果になっているようです。
ニキビ

思春期に多くの人が経験するニキビですが、そもそもニキビができる原因として、"皮脂腺の活発化"というものがあります。毛穴に皮脂がたまることによって炎症を起こすことが、現段階ではニキビができるきっかけとされています。
ニキビができる箇所は主に、
- 顔
- 胸
- 背中
で、思春期が終わると徐々に収まってくる人が多いです(長続きする人もいます)。
しかし、アナボリックステロイドを使うと、成人して何年もたっているにも関わらず、大量のニキビが出るという現象が起こります。
終わったはずの"皮脂腺の活発化"が起こることがキッカケのようです。
攻撃的

興味深い研究があったので、ちょっとこれを見てみてください。
アナボリックステロイドが子供の精神に及ぼす影響について調べた。
Finkelsteinらは、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で、思春期遅滞のテストステロンを35人の男の子に増量し、経口の結合型エストロゲンを14人の女の子に注射した。
両方の治療群は、プラセボ(偽薬)を投与された群よりも、より肉体的に攻撃的な行動と攻撃的な衝動を示しました。
Anabolic steroid abuse: Psychiatric and physical costs (2007)
興味深いというよりも、何だか怖いですね。そもそも子供にホルモン剤を投与するという研究が日本では考えられません。
ステロイドを使っていると、『普段よりも攻撃的になりやすくなる』といわれています。"ロイドレイジ"という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ロイド=ステロイド
レイジ=激怒
つまり、ロイドレイジ=ブチ切れてるステユーザーということを差します。些細なことでキレたり、SNSなどの煽りコメントやリプに対して過剰に反応するという行動が、より疑惑を深めることに拍車をかけたりもします。
躁鬱(そううつ)

副作用の中に"躁鬱(そううつ)"という精神状態があります。
躁鬱とは、
日常的にうつ病のように気分が落ち込んでいると思いきや、急にハイテンションになるポイントが存在したりする
状態のことを差します。
ステロイドユーザーではないのですが、私の知り合いにも居ました。かなり頻繁にSNSで投稿するタイプの人だったのでそれが顕著に表れていました。「そうしなければ自分を保てない」とも言っていたのを思い出します。
他の薬物の使用

薬物が原因の逮捕者は、だいたい複数の薬物を所持または使用して罪が重くなったりもします。なぜ、他の薬物までに手を出すのかというと、「使用したものが大丈夫だったから、今度の薬も大丈夫だろう」という思考になるからだそうです。
アナボリックステロイドは、当然のことながら薬物に分類されます。「記録を伸ばしたい、筋肉がもっと欲しい」という欲望から始まり、副作用の苦しみを紛らわせたり強い快楽を求めたりして破滅していくという結末です。
突然死

世界的に有名なボディービルダー2人が同時期にこの世を去るというニュースは記憶に新しいままです。
筋肉は何も外側から見えるものだけではありません。心臓も筋肉でできています。心臓は常に動いているため、筋肉を肥大させるステロイドの作用で心筋肥大を起こし、心筋梗塞を発症する可能性があります。
そういうこともあって、ステユーザーは過度な有酸素運動ができないのです。ステロイドを使うということは常に死と隣り合わせと言っても過言ではありません。
ケア剤の副作用

ステロイドの直接的な副作用ではないのですが、その副作用を抑える"ケア剤"というものが存在します。
「ケア剤を使えば問題なんじゃない?」と言われるかもしれませんが、そのケア剤にも副作用が無いとは言い切ることができないのです。
まさに、負のスパイラルです。
最後に
ここまで副作用に関して書いてきましたが、これらは一部に過ぎないという事実があります。
私はステロイドは絶対反対です。ステをやったこともないですし、これからやろうとも思いません。
ドーピングを無くしていくことは不可能に近いかもしれませんが、この記事が少しでもその役割を担うことができれば幸いです。
【参考文献】
- Psychiatric and Medical Effects of Anabolic-Androgenic Steroid Use A Controlled Study of 160 Athletes
- Side Effects of Anabolic Androgenic Steroids Abuse
- Anabolic steroid abuse: Psychiatric and physical costs
- The Effect of Hormones on the Voice
- Gynaecomastia and breast cancer in men
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